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イチロー選手の野球信條

料理評論家・山本益博さんのお話より
http://mixpaper.jp/scr/viewer.php?id=4b1a35035c0c2
イチロー選手は「普段の自分でいることが僕の支え」という。
ヒットを量産するから好調、
何打席もヒットが出ないから不調というのでは、
自分のバッティングはできないのだという。

それはあくまでも他人の評価であって、
たとえ2、3試合ノーヒットで終わっても、
バッティングの「感覚」さえ残っていれば
心配することはない、と言い切っている。

よくないのは、何打席もヒットが出ないことを
次の打席にまで持ち込むこと。
そのために、いつも平静、冷静でいられる
「普段の自分」を保っておかなければならないのだと。

9年間イチロー選手の動きを逐一見て、
まず感嘆するのは、すべての所作が
計ったように同じであることだ。

例えば、試合開始で守備につく時、
ベンチから飛び出してきた彼は
必ず19歩から20歩目にファールラインの白線を越える。
そして自分の守備位置のライト方向へ走るが、
いつも40歩目で走りを緩め、15歩くらい歩いて定位置につく。

打撃でも、バッターボックスに入って
構えるまでの一連のセレモニーはあまりにも有名である。

スポーツライターであり、かつて新体操で
オリンピックに出場した山崎浩子さんは、
新聞のコラムに興味深いことを書いていた。

「実は私も現役時代、出番が近づいて
 トレーニングウェアーからレオタードになる時には、
 下のウェアーの右足から脱ぐというふうに、
 脱ぎ方からたたみ方からいつも一緒だった。

またフロアーに入る時も決まって右足から。
これはジンクスの類ではなく、いつも同じ行動をとることで、
自分なりのリズムを作り出していたのである」

この話からも、オリンピックやメジャーリーグといった
世界最高峰の舞台で一流の選手が鎬(しのぎ)を削る時、
最も大切なのは「いつもの自分である」ということ。
おそらくどの選手も自分なりの約束事があるのだろう。
そしてその手順を踏むことで、「いつもの自分である」と
セルフコントロールしているに違いない。
 
イチロー選手に関していえば、
それはグラウンドを離れてからも徹底している。
密着番組で話題になったが、イチロー選手は
本拠地・シアトルで試合がある時の昼食は、
必ず奥さんがつくった「カレーライス」と決めている。
他の球場で試合がある時は「チーズピザ」だそうだ。

これは何もイチロー選手が
ただカレーやピザを好きだからではない
(もちろん好きな食べ物ではあると思うが)。

曰く
「試合中に何か異変を感じた時、
 食事を言い訳にしたくないから」。
 
そこまで自己管理を徹底しているのだ。

普通の人間ならそんなに毎日同じものを食べていたら
飽きがこようものだが、それ以上に
「ヒットを打ちたい」という思いが強いのだろう。
とにかく心身ともに「普段の自分」で
いることがイチロー選手の信條なのである。


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