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今日も生かされて

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素敵な話

素敵な話 《コンピューターおばあちゃん》

 「八十二歳のコンピューターおばあちゃん」


大川加世子(コンピューターおばあちゃんの会代表)

『致知』2012年10月号致知随想より
http://ameblo.jp/otegami-fan/                
                
「たくさんの高齢者がパソコンのネットで繋がり
仲間意識をもって孤立しないで生きてゆきたいと?
お年寄りがパソコンなんてするはずないでしょう」

平成九年、当時六十六歳だった私は、
区役所に高齢者を対象とした井戸端会議ならぬ
パソ端会議を楽しむパソコングループをつくりたいと
申し出ました。

すると、返ってきたのは冒頭の言葉。
世間はまだそんな認識だったのです。

私は二十代の時に勤めた米国保険会社で
英文タイプを覚えた経験から、
子育てが終わって仕事に復帰してからも
ワープロ、パソコンを使ってきました。

そうして来るべき高齢化社会は、高齢者こそ、
障碍者こそがITの恩恵を享受してよいと思っておりました。

だからこそとにかく行動を起こしたいと思い、
無謀と言われながら区に施設の予約を入れ、
区報に「パソコンで遊びませんか?」と告知を出しました。

迎えた三月二十七日。その日は
朝から雨の降る寒い日でした。

馴染みの電気屋さんが貸してくれた
十数台のノートパソコンを前に、
「こんな日に人が来るかなぁ」と不安に駆られながら
施設で待っていました。

するとどうでしょう。

傘をさし、杖をつき、なんと百五十人もの高齢者が現れたのです。
急遽二部制にしても、入りきれず半分は最敬礼で謝り
お帰り願わなくてはならないという盛況ぶりでした。

そうして始まったこの会を
「コンピューターおばあちゃんの会」と名づけ、
これが全国に広がるのに時間はかかりませんでした。

待ちに待ったお仲間、パソコンを学ぶのではなく、
楽しむこと、遊ぶことを目的とし、
今年で運営十六年目になります。

全国約二百五十名と海外で高齢になられた
日本人高齢者がメーリングリストで繋がり、
時々開く「サロン」と年に二回の全国オフ会を開催するなど、
活発に活動を続けています。


最初は「コンピューターなんて絶対に無理。
チンプンカンプンだもの」と言っていた人も、
実際に触って面白さを実感すれば
どんどん使い方をマスターしていきます。

若い頃にジャズが好きだった人は
ジャズをどんどんダウンロードしたり、
油絵が趣味だった人は写真の加工をして作品をつくったりと、
自分の趣味を掘り下げ高齢者の底力を発揮しております。

また、みるみるお洒落になっていくのも
皆さんに共通していることです。
長く年を重ねると友人は減っていく一方ですが、
指先一つで繋がる仲間ができ、

いま、高齢者の「おひとり様」が増えています。
伴侶を失った後、煩わしいけれど子供家族と同居するか、
寂しいけれど気楽に一人で暮らすか。

どちらを選ぶかといえば、
いま多くの高齢者は気安さを選んでいます。

壮年期には分からないものですが
朝、目が覚めた時のシーンとした寂しいような静けさ。

でも、そんな時にパソコンを起動させれば、全国の仲間たちが
「昨日はどこに行った」「何を食べた」
とおしゃべりをしています。

それにコメントを返せば、また返信がくる。
そこに自分の居場所を感じるのです。

おひとり様が一年で一番寂しいのは元日の朝です。
数年前までは子や孫たちと一緒に過ごすのが日本の風習でしたが、
最近はおばあちゃんが
「大変だろうから、無理しないでいいわよ」と言えば、
本当にスキーにすっ飛んでいってしまう。

そうだ仲間たちと過ごそう。
そうして今年の元旦に初めて
「おひとり様の元日会」を開きました。

元日の朝、都内ホテルに集結。互いに送り合った
電子年賀状をiPadで確認。

和室でお屠蘇を飲み、お雑煮を食べた後、
楽しいひと時を過ごしましたが、
私はこの会は、単に寂しさを紛らわせるだけで
終わらせてはいけないと思っていました。

何か自分たちが世の中で役に立ち、
必要とされていることを実感できる活動をしたい……。

そんな思いを巡らせていた時、
「大川さん、いまの大学生は日本の伝統的な
お正月のことを何も知らないから教えてあげてください」
と、慶應義塾大学の先生からの申し出がありました。

そこで元日の午後はおばあちゃんたちと大学院生のコラボが実現。

「昔はお正月にこんなことをして遊んだのよ」

「昔、会津のお雑煮はこうだったのよ」

次から次におばあちゃんたちが思い出を語れば、
学生たちは「へー」「ほー」と目を丸くして
iPadやiPhoneでサクサクと昔の習わしを検索。

そして、おばあちゃんたちとの様子を写真に撮って
どんどんFacebookにアップしていくのです。

一日が終わり、
「私たちもまだまだ世の中に役立つことがあるのね」
とおばあちゃんたちが嬉しそうに帰っていったことが
この会を開いた一番の収穫でした。

いま、私たちにとってパソ端会議は
何よりの「予防医学」であり、
同時にガスや水道と同じくライフラインになっています。

三日前にたった一人で孤独に死んでいた――。

そんな人を減らしていかなければなりません。
その思いで

『コンピューターおばあちゃんといっしょに学ぶはじめてのiPad入門』

という本もまとめました。

パソコンで楽しく遊びながら、
たくさんの仲間たちと繋がりましょう。
パソコンの向こう側には、まだ見ぬ広い世界が待っています。



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Author:taka
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 現在地  :広島市

69歳の今も、何にでも興味を持ち、いつも熱き心で青春だ。人生は、成るようになるし、また成るようにしかならん。起きるべきことが起きるから深呼吸してリラックス リラックス。
「明日死ぬと思って生きよ 永遠に生きると思って学べ」を心に。



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