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今日も生かされて

日々の出来事や想いを綴っています
 

素敵な話 《60歳のラブレター》

40年近く夫婦をやったから出せる味わい深い会話。
男と女が縁あって出逢い、夫の役、妻の役を演じる夢芝居。
来月の10日に38年目になる夫の役だが大根役者の自分では、まだまだ出せないなぁ、この味わいは・・・

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  FB「思わず涙する言葉のチカラ」」より

昨年の十月、女房が胃潰瘍の手術の為に入院した。

後で分かったのだが、

意を決しての入院だったようだ。


女房は手術室へ向かう直前、

ベッドの枕の下から 一通の封書を

私のポケットにねじ込み、

寂しそうに笑っていたのが少し気にはなった。


手術は一時間足らずで終わったが、

その間、待合室で先ほど渡された封書を開けてみた。


「お父さん!

私は潰瘍ではなく、

癌だと思っています。


この先あまり長くは生きられないと思うので、

今のうちに言っておきま す。


四十年近く連れ添ってくれて有難う。


良妻だったとは思っていません。

我がままばかり言って迷惑のかけっ放しだったと

自分でも思います。


でも、 あなたのお陰で、

私は結構楽しい人生が送れました。

私が先に逝くことになりますが、

『三途の川』は渡らずに、

あなたが来るまでじっと待っています。


来た時には、

他のいい女に目移りすることなく

真っ先に私を探してください。

来世でも夫婦として一緒に暮らしてあげますから・・・」


「なん じゃ!これは!遺書か?ラブレターか?」


思わず吹き出した。


術後、医師から告げられた。


『単なる潰瘍です。

三週間ぐらいで退院できるでしょう。』


その言葉を聞いて

一安心すると同時に、

あの、内弁慶な女房の本心の一端を

図らずも垣間見たことで

思わず苦笑した。


四〜五日して病院に行くと手を出すので

「なん や!」

と聞いたら、

あの手紙を返せと言うのでした。


私は、

「そんなもん、知らんで!」

と言うと、


背中をおもいきりたたかれました。


その力は、

元気な時と同じぐらいの強さまで

回復していました。

(『60歳のラブレター』第5回大賞 西田洋明さんの作品より)



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